具体例でいろいろ考えさせられる マイケル・サンデル『これからの正義の話をしよう』

何かと話題になっている、ハーバード大学教授マイケル・サンデル著『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』(鬼澤忍訳、早川書房。以下、「同書」と略。)を読んでまず思ったのは、(自分は何て原始的な生き方をしているんだろう)…

『朗読者』

7月に見た映画「愛を読むひと」(http://d.hatena.ne.jp/rvt-aa/20090702/p2)の原作『朗読者』(ベルンハルト・シュリンク著・松永美穂訳 新潮文庫)の感想を、忘れないうちに。 ・映画の方が、ミヒャエルがハンナを拒絶する気持ちがはっきり描かれている分…

一気読み

知人男性二人の話を聞いて、マンガ『青い花』(志村貴子作・太田出版)を買った。舞台は鎌倉の女子高。読み始めて少し経ってから、しっとりモイスチュアな、呼吸できるうす青い水の中にいるような気分に。 「どんなにお金を積まれてもたぶん、自分の人生には…

シングル

新聞に『普通のサラリーマンが2年でシングルになるための18の練習法』という本の広告が載っていた。結婚しているサラリーマンが離婚後も一人でやっていけるように2年家事などの修業を積むための本かと思ったら、ゴルフの本だった。夫に言ったら、「日経はそ…

重いが、良かった 「愛を読むひと」(ネタばれがあります) 

友人に誘われて、映画「愛を読むひと」(スティーヴン・ダルドリー監督)を見に行った。原作はベルンハルト・シュリンク『朗読者』。相当前に読んで、半分くらいは中身を忘れてしまっていた。(以下、ネタばれがあります。あと長いです) 1958年、ドイツ。15…

『百舌谷さん逆上する』について

「左隣のインターフェース」(http://d.hatena.ne.jp/leftside_3/)2009年4月24日付に、「マゾヒズム、何それ単なる変態でしょいやらしいと思う人にこそ読んでほしい『百舌谷さん逆上する』、における『春琴抄』の書き換えについて」が掲載されました。百舌…

マーク・ロスコ展

千葉県佐倉市の川村記念美術館に、「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展を見に行った。 佐倉はこんなに山っぽかったかと思うような所で、美術館に入る前にまず広大な庭園に驚いた。三日月形の白鳥池を葉桜や木々の緑が囲み、コブハクチョウ、フランスガチョウ…

子宮の日

本日4月9日は「子宮の日」ということで、子宮癌、特に若い人もかかりやすい子宮頸癌検診を受診しましょう、という普及啓発イベントがいろいろ行われているようだ。行けなかったけれど、敬愛する洞口依子氏も新宿でチラシを配布していた模様。子宮癌検診はち…

はらぺこあおむし

本日のGoogleロゴは、エリック・カールがデザインした「春分の日」とのことで、同氏作の絵本『はらぺこあおむし』の一場面みたいになっている。 http://www.google.co.jp/『はらぺこあおむし』は実は大人になってから読んだのだが、色遣いが鮮やかで明るい気…

鉄道博物館

過日、埼玉県は大宮の鉄道博物館に行った。古い車両をたくさん展示していて、リベットの宝庫だった。鼻血は出なかったが。 今回一番しびれたリベットは国産初の大型高速蒸気機関車「C51形式蒸気機関車」(車号C515:1920年製造)の車輪脇のもの(上左)。赤と…

びっくり。まだそんな時代なのか

アニメ『かんなぎ』の主人公の美少女キャラが非処女だったらしいことで騒ぎになり、原作漫画の当面の休載との因果関係が取り沙汰されているらしい。 http://www.zakzak.co.jp/gei/200812/g2008120907_all.html アニメの方しか見たことがないが、まだそんなこ…

「トライアル’60」

今月7日の日経新聞朝刊36面に作家、星野智幸さんの「バリアフリーは人を善良にする」というエッセイが載っていて、先月亡くなられた叔父様が、全共闘運動の内ゲバで車椅子生活になりながらもバリアフリー化の実現に尽力され福祉の現場で世を変える行動を続…

ありがとうございました

文学フリマの階段ふもと、「左隣のラスプーチン」ブースで同人誌『S.E.VOL.2』http://d.hatena.ne.jp/leftside_3/20081101/1225552245等をお買い上げくださいました、また、お手にとってご覧くださいました皆様、本当にありがとうございました。同…

お知らせ

■友人沢木まひろさんの新刊が出ました。第1回ダ・ヴィンチ文学賞での優秀賞作品「But Beautiful」と書き下ろし1編を収めた『きみの背中で、僕は溺れる』です。私は女ながら(?)BLものがどうしても苦手なのですが、「But Beautiful」は女性の登場人物も魅…

横浜トリエンナーレ2

長いので分けた。横浜トリエンナーレの続き。 ●三渓園 ・中谷芙二子:霧の彫刻。人の気配でピンクのライトがついたりセンサーの湿度感知で霧が発生する。緑のなかで冷たい霧を浴びるのは気持ちいい。 ・内藤礼:電熱器の熱で天井から下がった透明な糸だかグ…

世界との折り合い・世界の変革

ゆうべBShi『わたしが子どもだったころ 川上未映子』を見ていたら、一緒に見ていた夫が「これ面白い?」と言う。彼がそういうときはたいてい、彼自身は「面白くない」ときだ。 案の定、「なんか見れば見るほどこの人が嫌いになってくる」と不快そうな顔。私…

篤姫

NHK大河ドラマの「篤姫」を楽しみに見ているのだが、過日、本屋で『NHK大河ドラマ・ストーリー 篤姫 後編』なるものを見つけて買ってしまった。 最近は、大河ドラマの解説本って、前編と後編が出てるんですね。知らなかった……。 単なる宮粼あおい写真集にと…

L25mobile『免罪符』

友人、沢木まひろさんの新作小説『免罪符』が、『L25 mobile』というモバイルサイトで、6月23日(月)から連載されています。平日5日の連載、期間は3週間ちょっととのことです。携帯電話で http://L25.jp (Lは小文字)にアクセスの上、画面上方メニューの「…

Burgundy Red

友人の沢木まひろさんが、ご自身のブログで当日記を紹介してくださいました。思わず姿勢を正してしまうような身に余るご紹介です。 http://blog.goo.ne.jp/sawakimahiro/e/fb6da87ab3ae227cd9f29b46ec25e0a0沢木さんは2006年に、第1回ダ・ヴィンチ文学賞で優…