代々木駅の古レール

JR東日本の代々木駅ホームの柱に古いレールが使われているらしいのは以前から知っていたけれども、「レールだったんだよ」という証拠みたいなものは見たことがなかった。

やはり古レールではないかと思われる川崎大師前駅の柱には文字&数字らしきものが刻まれていたので、ここにも同様の、橋で言えば銘板のようなものがあるのではないかと上方で湾曲する柱を見つめて山手線ホームを進むうち、とある柱のけっこう高いところ(写真上の右上部)に何やら文字がだーっと横に並んでいるのを発見した。

光の加減や目の認識能力の低さもあって自分の肉体駆使だけではまったく判読不能
紙を当ててフロッタージュ(こすり出し)でもできればいいのだが、まあ無理だしできても器物損壊になりかねないので、携帯電話のカメラで文字等を撮影した。


リベットも素晴らしい。上の方はカマキリの頭チックであり、ウィング式栓抜き風でもある。写真下の直角になっているところのように、互い違いに寄り添っている感じもたまらない。


駅の柱を見つめてにやけながら撮影している人間は、傍から見れば本当にただ気味が悪いだけだろう。私の胸の内には(リベット! 古レール(仮)! リベット!! 古レール(仮)!!)と一足早い春が来ていた。


全部は読めないのが残念だが、パソコンに保存して大きな画面で見ると、「TOUGHE(?)NED ST○○L 1887 SEC1○1 I.R.J」と読める。TOUGHE(?)NEDの左側にもまだ文字があるのだが、それは読めなかった。インターネット上で調べたところ(Charles)Cammell社というイギリスの会社の名前が書かれているらしい。

「Liverpool museums--Maritime Archives & Library Sheet No. 68 : Maritime records at Wirral Archives, including Cammell Laird」というサイトによると、

The firm amalgamated with Charles Cammell & Company, Steel Manufacturers of Sheffield in 1903, and became known as Cammell Laird & Co. Following further name changes, nationalisation and denationalisation, the Birkenhead Shipyard of Cammell Laird Shipbuilders Limited closed down in 1993, ending more than 170 years of shipbuilding.

とあるから、この会社の全部か一部かは1903年に合併によって造船会社になったようだ。
また「I.R.J」は発注者で「Imperial Railway of Japan」の略号らしい。そしてST○○LはSTEELのようだ。

それにしても、古レールのことをずいぶん調べている方もいらっしゃると初めて知った。特に以下の方のサイトは詳細で、これだけ調べておられるなんて頭が下がる。http://homepage1.nifty.com/arashi/fururail6britain.html#CAMMELL_L

レールというと二本が並行に走っていることが多いけれど、こうやって柱に使われているものはみんな、下の方で二本がほぼくっついているんだよなあ、とも思った。
「敷かれたレールの上を走る人生」などとよく言われるけれど、ここでは「レールが立っている」。