メディアは何をしようと?
過日、NHK教育の「知る楽 探究 この世界 『怖い絵』で人間を読む」で、ドラクロワの「怒れるメディア」という絵を取り上げていた。
女性(メディア)が、左手にナイフを持った状態の両手で二人の幼子(男の子と女の子)をしっかりと抱き抱え、画面の向こうの何者かを緊迫した表情で見つめている。
「この絵の女性は何をしようとしているか?」と美術館来訪者に訊く場面があった。
私は即座に「子供を殺そうとしている!」と叫んだ。
だって、左手の鋭利なナイフが男の子の腿に今にも突き刺さりそうで、当の男の子もじっとそれを見ているんだもの。
でも、来訪者の人々は、素かTVカメラを意識してか他の理由(撮影後の編集など?)かわからないが、皆、「何かから子供を守ろうとしている」と答えていた。
正解は私の方で、夫に裏切られたメディアが、自分と子を捨てた夫と夫の再婚相手への怒りから、ついに自分と夫との子を殺してしまうという絵なのだったが、一緒に見ていた夫は、答えがまちがっていてもいいから、私に「子供を守ろうとしている」と答える人間であってほしかったようだ。
んなこと言ったって、子供守ろうとしてたら刃先をああはしないだろうよ!、と言ってもあまりわかってもらえなかった。というか、番組で「常識では考えられない、発想できないほどの怒り(うろ覚え)」と表現されていた「子供を殺す」発想が出てきたところにがっかり感が充満しているらしい。
むずかしいのう。
解説をされている中野京子氏の著書『怖い絵3』に載っているようです。シリーズ1冊目の『怖い絵』が面白かったから、買ってみようかなあ。
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