ヴィジェ・ルブラン展と高い柱2

前回の続き。展覧会を見終わった後、併設の「Cafe(eの上に´あり) 1894」に行った。ここは前に来たときも入りたかったのが、混んでいたので断念した場所だ。

「あのブドウは酸っぱい」みたいに、別にどうってことないよね、と思っていたけれど、入ってみて、実際入ってみないとわからないものだなあ、と思った。

イギリスのアン女王統治時代(1702〜1714年)の古典様式による建築様式、クイーン・アン様式だそうで、明治期に、銀行の営業窓口として使用された二層吹き抜けのフロアに、艶々と光る焦げ茶色の高い柱が何本もどーんと聳えていて、圧倒される。外から覗いたときに比べ、ずいぶん太くて重厚に感じられる。
友人が三菱一号館美術館に行きたいと言ってくれなければ、このカフェにも入る機会がなかったかも、と思うと友人に感謝! だ。


自分の背は柱の基壇のちょっと上、フルーティング(溝彫り)が始まるか始まらないかの所くらいまでしかない、といえば少しは高さがおわかりになるだろうか。そこまでの高さも何倍もある所、首を反らして見上げた天井近くの柱頭に、アカンサスの葉か何かの精緻な彫り物が見られる。
木でできた天井も、装飾的かつ立体的に仕切られた格子の中がさらに正方形や六角形及びその各角から伸びる線に仕切られていて、規則正しい木目が心地良い。

三菱一号館美術館の暖炉などは、見ても(うーん、同じくジョサイア・コンドル設計の岩崎邸と比べちゃいけないのかもしれないけれど、本当はもっと手が込んだデザインだったのでは……。あ、でも建物ができた当時のピカピカ新しい感じがわかればいいか)と無理矢理自分を納得させるところがあったけれど、この柱と天井は素人目には、眼福という感じだった。


明治期の写真によれば、柱の、基壇と基壇の間の壇みたいな所が営業窓口のカウンターだったようで、そう思ってあとで見てみれば、入口付近にカウンターと、従業員と客を仕切るガラスかアクリルか何かの透明の板がちゃんとあるのだった(写真左の下部。所々アーチ形にくり抜かれている)。

天井がとても高いため、空間が広々と感じられて、かなり気持ち良かった。また、照明が黄色っぽいので、焦げ茶の柱や天井が明るい茶色に輝いて、全体的に暖かみのある空間になっている。
フィッシュアンドチップスなどもおいしかった。


ヴィジェ・ルブラン展は明日5月8日まで。公式サイト:http://mimt.jp/vigee/