城ケ島灯台


過日、城ケ島に行ってきた。その日は雨が降っていて波も高く、「リアル『城ケ島の雨』だー」などと三崎港から対岸の島を眺めていたところ、スコールのような豪雨になってしまった。
少し前まで「城ケ島冷蔵庫」というクリーム色の大きな倉庫がくっきり見えていたのが、もう霧に白く煙って何も見えない状態に。同行の親とも「城ケ島見えたからいいよね、今日はもう諦めよう」と話していた。

ところが、しばらく経つと雨が止んで、晴れ間が見えたのだ。
すかさずピンクの渡し船「白秋」に乗って3、4分で城ケ島に渡った。
船長は耳が遠い方でちょこっと会話が噛み合わなかったが、優しそうな方で、貸切状態で船を出してくれた。


歩いて数分で島の西部にある城ケ島灯台の麓に。しかし、ここからかなり階段を上らなければならなかった。二人分の荷物を持って上るのはとてもいい運動になった。

海上保安庁等による案内板によれば、城ケ島灯台は、1870(明治3)年に、横須賀製鉄所首長でフランス人のヴェルニーによって煉瓦造の西洋式灯台として設置点灯されたとのことだった。しかし1923(大正12)年の関東大震災で建物の基礎から倒壊し、1926(大正15)年に現在のものに改築されたのだそうだ。
上りきった所にある三浦市の案内板を読むと、江戸時代から灯明台やかがり火を使った灯台があったことがわかった。
地上から灯台頂部までは約11.5mなので、わりと小ぢんまりした感じ。
ズームで撮影すると上の方にはリベットかもしれないと思われるものが見えた。

建造された時代を象徴するように、直線・曲線を多用したアール・デコっぽい装飾も随所に見られたので、嬉しかった。

特に気に入ったのは、この、閉め切りになっている扉の上の庇らしきもの。直線的でダンダンダンッとせり出しているのが何ともいえない。青緑の金属板には、旧字体で右から(以下新字体で書きますが)「城ケ島灯台/初点/明治三年八月十三日/震災改築/大正十五年八月一日」と書かれていて、ここにも趣のある縁取りが見られた。

隣りの小さな庇らしきものの下には昔は窓でもあったのだろうか。かつての機能を失ったまま残っているトマソンっぽい。



眺めも良く、写真ではわからないが、海が緑がかって見えるところもあった。外海だー、と思った。空には鳶がたくさん飛んでいて、澄んだ音色で鳴いていた。房総白浜の鳶はアニメ『うる星やつら』のラムが空中を浮遊するときみたいに「ピルルルル」と鳴いていたけれど、ここのは「ピーヒョロロロ」で、正統派だった。