船の科学館2 「宗谷」(1)

船室の中に入る前に、足下近くにリベットを発見。経年変化がやや残念ではあるものの、海と白いリベットとの調和もなかなかいいと思った。
丸窓をリベットが取り囲む白い扉をくぐると左手に士官食堂、右手にはこのような狭い通路が奥まで伸びている。
天井や壁を這う剥き出しの配管がたまらない。1938(昭和13)年竣工の歴史を感じる。維持管理する立場だと鼠対策等、すごく大変そうだが……。もちろんそこかしこにリベットが見られる。進みながら、頭のなかに映画『ローレライ』の映像が浮かんでいた。あれは潜水艦なんで船の種類が全然ちがうけれど。「宗谷」は、当初は対ソ連向けの砕氷型貨物船として進水、名前は「ボロチャエベツ」だった。でもいろいろあって(経緯が外務省サイトに書かれている。http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/qa/senzen_03.html)日本の貨物船「地領丸(ちりょうまる)」(外務省サイトでは「地頭丸」となっていたが、船内・船の科学館内の資料に従う)となり、その後は海軍の特務艦→引揚船→灯台補給船→南極観測船→巡視船となったそうだ。波乱万丈な生涯だ。1943(昭和18)年には南方やガダルカナルに出動し生き延びていたという事実もあとで知った。運の強い船だなー。
機関長室、浴室、スタンドの笠や洗面台の上の棚が瀟洒な士官寝室等を見ながら進み、南極展示室でクイズや映像を楽しむ。通路が終わり、外に出ると、スクリュープロペラが展示されていた。氷を砕いて進む力には、銀と赤の色合い同様に、3分間で地球を救うヒーローのパワーに通じるものがあるのかもしれない。(「宗谷」は一日で終わらせようかと思ったのですが、ごめんなさい、つづきます)