トマソン


赤瀬川原平氏が亡くなったとのこと。
開けても足を着ける場所がない高所扉など、美しく保存されている無用の長物「トマソン」を建物に見る楽しみを、『路上観察学入門』といった著書から教えていただいた。
命名の元になった野球選手のトマソンについては、残念ながらまったく知らない。

拙ブログでも「トマソン」あるいはそれに類するものを取り上げていなかったかと調べたら、2件ほどあった。
城ケ島灯台http://d.hatena.ne.jp/rvt-aa/20100630/p1)、
虎ノ門〜新橋(http://d.hatena.ne.jp/rvt-aa/20090420)。
写真は、城ケ島灯台の「かつて下に窓があったのかもしれない小さな庇」。大きな庇の右側のものだ。


虎ノ門〜新橋の方は、建物自体が再開発でもうなくなっているかもしれない。
というかわたし自身が場所を明確に思い出せないという大問題が。
辺り一帯まるっと新しい高層ビル及びその敷地になっていたりしたら、そこにかつてこれらの建物があったのか本当にわからないだろうなあ。


トマソンは現在の姿そのものを見ていても面白いけれど、見る側にとっては、どうしてこうなったのかを想像したり、流れた時間を感じたりできる喜びも多いように思う。
見る者が写真や映像によってしか存在を確認し得ないというふうになることなく、トマソンには、いつまでもリアルに、建物とともに存在していてほしい。