猫気分の路地

  
過日、以前NHKの「ブラタモリ」で紹介されていた銀座の路地に行った。自分でも「松坂屋の近くだな」とおおよその位置は調べていたものの、行ってみるとさっぱりで、同行の友人がきっちり案内をしてくれて本当に助かった。心から感謝している。

「豊岩稲荷神社」の文字を頼りに薄暗い路地に入っていくと(写真上左)、すぐに左手角に稲荷神社が現れる(写真上右)。目鼻立ちのくっきりした狐が二匹、朱塗りの神社を守っている。左手に寄附者の名や寄附金額が彫られた石碑があり、「四百圓」等の字が微かに読み取れた。

 
  
参拝し、角を曲がるといきなり排気口の洗礼を受ける(写真中上左)。
ボオーーーと大きな音とともに生暖かく強い風に晒されながら、ビルとビルに挟まれた暗く狭い道を猫気分で進む。見上げるビルがやけに高く、また陰影が濃く見えた(写真中上中)。
室外機やら金属の管やら、化粧っ気のない裏側が剥き出しなのですごく無防備な感じだ。多少薄ぼんやりとしていたが、空は青く雲もなかった。
隙間から金色に輝く光が見え、これはあとで、濃淡様々な金箔が一面に貼ってあるような雰囲気の、ヤマハビルの外壁らしいとわかった(写真中上右)。

形や大きさが違う複数の排気口や室外機から、冷たかったり暖かかったり、そばつゆの匂いがしたりと様々な風が吹いてきた。これは実際に歩かないとわからないことだ。

絡まった電線が垂れていたり、街の地図や新聞の切り抜きみたいなものが壁に貼られていたりもして、秘密結社の集会が行われていそうな雰囲気の所も。「吸い殻を捨てるな」の表示と灰皿一杯の吸い殻も見た。この路地で寛ぐ人は多いのではなかろうか。
侵入者感知センサーでつく蛍光灯やドアを開けて出てきて路地を颯爽と闊歩する女店員さんに、はっとしたのも、貴重な体験だった。


 
目玉(?)の一つのドア(写真中下左)。「通り抜けできます」とあり、ドアをくぐるとドトールの店内。そしてまた擦りガラスのドア。通り抜けるのは気恥ずかしかったけれど、店で飲食している方々は慣れておられるようだった。
出口付近の食べ物屋さんの厨房から漏れる明かりがとても暖かい感じ。写真では不鮮明だが、白菜の箱には「白菜」の前に「シティ」と黒マジックで書かれていた(写真中下右)。縦置きの駐輪場も意識して見たのは初めてだった。


 
興奮冷めやらず(性懲りもなく)、出口からもういっぺん入って路地を抜けた。光の当たる角度も違うので、また異なる風景が見えた(写真下左)。
おまけ。ビルを駆けるぬこ。個人的には、ぬこが肢をかけているビルの白っぽい所が、スクラッチタイルの上からペンキか何かを塗られているのかが、気になる(写真下右)。

とても楽しく、翌日も余韻で元気に過ごすことができた。おすすめです!(ただし夜は怖そう。昼でも結構暗いです)