いい試合を見られた 

昼にテレビをつけたら、全日本高校野球選手権の準決勝の試合である沖縄の興南高校と兵庫の報徳学園高校の対戦が行われていた。


私は野球をほとんど見ないし知識もないのだが、たまたま昨日、興南が準々決勝で点を取り返すところを見て島袋投手は覇気があるなあ、と思っていたことと、野球やその選手とはまったく関係ないとある理由により、そのまま見続けることにした。


あれよあれよという間に報徳学園が5点を入れ、興南は0対5というとても厳しい状況に置かれた。内心は葛藤があったと想像するけれど、島袋投手の顔がなんくるないさー、とでもいうような笑顔に見えたので、これはすごい人だなあ、と目が釘付けになった。でも試合が進むにつれ、彼もすごいけれど周りのほかの選手たちも相当なもんだなあ、と思うようになった。


相手に点を取られても、チッ、と矢のような視線を投手に向けたり罵声や顰めた眉や尖らせた口で責めたりすることなく、じっくり待ちながら彼をたいへん温かく見守っているという感じが、少なくとも画面に映っているところからは伝わってきたのだ。それは、観客席で応援する人々もほぼ同じ(若干、はらはら感が強く感じられたけれど)。
捕手の人が投手の表情を見て、彼の気持ちをほぐすかのようにマウンドで人を集めてごく短いミーティングをやったりしていたのも印象深い。
また、非常にプレッシャーのかかる状況でも、いいところに打ったり盗塁を積極的に試みたりと、選手皆で明るく試合を盛り立てていっていた。


それらって、かなり度量が要ることだと思うのだ。
夫が持っている、ひぐちアサの誉れ高き野球マンガおおきく振りかぶって』を、1巻から読んでみようかしらんという気にまでなった。


さーっと波が引くようにピリピリした緊張からどつぼに嵌る、という悪循環もなく、興南は五回に3点、六回に1点と次々に点を入れ、ついに七回で6対5と逆転した。報徳学園の人々を見ていると、追うより追われる方が実は気持的には苦しいかも、とも思った。
そして興南が勝ち、決勝進出となった。
報徳学園の選手の人たちも、チームメイトの失敗にはちょっと厳しそうだけれど、金網に飛びついて球を捕ろうとするなどガッツが感じられた(ガッツってもう死語?)。


いい試合を見られて良かった。「とある理由」の「原因」にも心から感謝申し上げます。