桃まつり1 『テクニカラー』

女性監督集団「桃まつり」による、『桃まつりpresentsうそ』という催しが渋谷ユーロスペースで開催されている(3月13日(土)〜26日(金)、各日レイトショー21時〜)。


女性監督による、「うそ」をテーマにしたさまざまな11作品が数作品ずつ上映される。13日〜17日に「壱のうそ」として上映される四作品の中に、洞口依子さんが出演する『テクニカラー』(船曳真珠監督)があったので、それを目当てに見に行った。初日だったので、赤系スカートと思いきや実は桃色のリネンワンピースをまとった洞口さんも、映画中のショー用でない方の髪型(ストレートっぽい長髪、後ろの高いところで一つに結んで垂らすのあり)で客席にいらした。舞台挨拶で監督が洞口さんの名前を呼んで紹介されたとき、腕をまっすぐに挙げて指先まで伸ばしておられたのがかっこよかった。


テクニカラー』は、娘の特殊能力を生かしたマジックショーのドサ回りをする親娘を中心としたコメディーで、洞口さんの役は母のハルミ。
部屋代等を浮かすために娘を旅行鞄に入れて運んだり、すぐに男を部屋に引き入れたり、事態が収拾できなくなると嘘をついて娘に泣きついたりのダメ母だが、洞口さんが出てくるだけで画面にミラーボールや劇場の照明みたいな輝きが加わる。今回はコメディーなので、ちょっとした仕草や台詞でいろいろ笑えたのも良かった。

個人的には、付けひげ姿でシルクハットを被った洞口さんが、チャップリンみたいに目玉をくるくるっとさせるところが大変にツボだった。あとは、からっとして、見ていて笑えて色っぽいという不思議なベッドシーンの嬌声やラスト近くの母娘それぞれの微笑み、よくもこんな対照的な人を見つけてきたなあ、という娘マキ(小野ゆり子)との掛け合いも印象的だ。最後の方の洞口さんの笑顔には、本当にはっとした。

司会者役の岡部尚、どんどん脱ぎ出すホテルマネージャーの吉岡睦雄、劇団主宰者のマメ山田もそれぞれ異なる個性で、この監督さんは役者さんの配置の仕方、持ち味の引き出し方が上手いなあ、と思った。同じ監督さんでさらにハチャメチャでスピーディなコメディーも見てみたい。

洞口さんには、既に演じておられるものもあるが、さまざまな母役をこれからも演じていただきたい、そして母親のイメージ像をどんどん壊してどんどんつくっていただきたいと思う。


行けなくて残念だが、本日16日には洞口さんが女性監督たちとトークを繰り広げるイベントも行われる。
間に合う方はぜひ!
公式サイト:http://www.momomatsuri.com/