繊細&ゴージャス! 愛のヴィクトリアン・ジュエリー展

友人が誘ってくれたので、Bunkamura ザ・ミュージアムに「愛のヴィクトリアン・ジュエリー展 華麗なる英国のライフスタイル」を見に行った。

19世紀のヴィクトリア女王の時代を中心に、
・ダイヤモンド、ルビー・エメラル・ガーネット・アメジスト・シトリン等のカラーストーン、金・銀・パールなどを使ったネックレス、ペンダント、ブローチ、ティアラ等のアンティークジュエリー、
・ウェディングやモーニング(服喪)のジュエリーやドレス等服飾品、
アフタヌーンティー用の製品
が約300点展示されていた。

客のほとんどは女性で、宝飾品の展覧会にはありがちだけれど一つ一つの品をじっくり味わいたいと誰もが思うためか、ケースに貼りついた人の列が動かない動かない。一品か二品しか飾られていないケースの前はほぼカップルシート状態だった。

リガード装飾、グリザイユ(黒や褐色を強調する技法)、ピクウェ(鼈甲や象牙に金などを象嵌)など見慣れない用語が多かったのだが、「用語解説一覧」が壁に掲示されていたので助かった。三回以上これを見に戻っていたと思う。とてもありがたい試み。パンフレットにあるとさらに良いかも。

印象に残ったもの。
・リガードマルティーズクロスペンダント:先端が鋸歯状に波打つ白い幅太なクロスの上に金細工の大きな花、その中央に、ルビー、エメラルド、ガーネット、アメジスト、ルビー、ダイヤモンドのごく小さな五弁の花(ダイヤモンドは蕊)が載り、各宝石の頭文字を並べるとメッセージ「REGARD(敬愛)」になっているというもの。「夜露死苦」みたいなものだろうか、大ざっぱに言って。これに倣えばうちにも「ED」や「DS」になるリングが実はある。

中央の五弁花と、白く波打つクロスの四つの各片の中央に伸びる金細工ゲンノショウコみたいな花のさらにまんなかで光る小粒の四角いエメラルドが印象的。この作品は、そばでじっくり見て初めて良さが分かった。

サイト(http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_09_victorian.html)からリンクされた特集ページに、この作品ではないが、リガード装飾についてのコラムがある。


・ゴールドスプレーブローチ:ひっそりと小さい、草花を野に咲いている状態のまま描いたようなブローチ。ゴージャスなものが多い中で「やはり野に置けれんげ草」的なものはほっとする。

しゅうしゅう葉が伸びている感じの金細工もいいし、ガーネットの五弁の花の中にエメラルドと金の蕊があるのや、極小ルビーがモザイク状に嵌め込まれたツリガネソウ的な花、やはりシードパールくらい小さなトルコ石が集まってできた花も愛らしい。

絵葉書だとやたら画像が巨大になっていて、細部が分かるのはいいが少し興醒め。


ラブラドライトカメオペンダント:モルフォ蝶の羽みたいに輝く青が灰色の中に浮かび上がる大きなラブラドライトで、技芸の女神ミネルヴァを浮き彫りにしてある。
真矢みき並みに豊かな長い髪がふぁさあっとなっていて、それが顔や体とともに青く光るのが何とも神々しい。


・ポージーリング:金の指輪の裏側に「In Love Abide Till Death Divide(愛において辛抱せよ、死が分かつまで)」の文字。……ですよね、としか言いようがない。


・ヘアー&ゴールドブローチ:モーニング(服喪用)ジュエリー。淡い黄褐色の遺髪で生命を象徴する木である柳やイチイを描いている。白髪以外の私の髪だと昆布やヒジキしか描けまい。

モーニングジュエリーにはこのほか遺髪をリングの台座などに編み込んだものもあった。
ただ遺髪のままを持ち歩くよりは、「命を閉じ込めている感」が感じられた。大切な人をどう身近に感じ続けるかを考えたとしても、私にはこの発想は出てこないと思った。


ヴィクトリア女王のミニアチュールブレスレット:若き女王の肖像が、斜め45度のところも含めて滝川クリステルに似ていて驚いた。


大きくて丸みのあるカボッションカットや強烈な赤のせいか、ガーネットがやたらたくさんあったような印象もある。
シードパールの細工の精緻さなど、友人に言われて初めて気づいたことも多かった。
2月21日(日)まで。食べなかったが、タイアップランチなども複数あるようだ。