猫にひかれて

過日、某神社に行き社殿で参拝したあと、唐門を出て境内の稲荷神社に行くところの植え込みに、きつね色のかたまりを発見した。


かたまりはやがてトテトテ歩き出し、稲荷神社の大鳥居の台石に。
「あっら〜、かわいい猫ちゃんね」と顎など撫でて行く中高年女性もいたが、とてもそんな口を利いてはいけなさそうな、元人間とでもいうような重厚で厳かかつ俺様(あたくし)的雰囲気。目も細くて毛に埋もれている。胸には色濃い毛でAの文字。



単に私から得るものがなかったせいもあるかもしれないが、猫はしばらくうずくまっていたあと、小さめの鳥居が続く千本鳥居の中をのっさらのっさら進み出した。猫の意図とは関係ないかもしれないしあるかもしれないが、道案内でもしてくれているようだった。


千本鳥居は鮮やかな朱や少し褪せたピンクなどさまざまな色どりで、鳥居で区切られた空間をくぐって進むのは、特別な道を歩いているという感じがした。一つの面に「奉納」の文字、反対の面には寄進者と思われる方の名前と祈願内容が書かれていた。
途中で、猫は脇にある胞衣塚の角ばった岩の隙間を通って茂みに消えて行った。



千本鳥居は、斜めから見ても圧巻。