生キャラメルを

過日、正月用料理の材料の残りである生クリームを使って、生キャラメル作りに挑戦した。
ネットでレシピを検索するも、「みずあめ」など家にないものを使っているものは却下。生クリーム、砂糖、牛乳、はちみつ、塩だけから作るレシピを発見。さっそく全材料を鍋に入れて火にかけた。

沸騰後に火を弱めて十数分、「泡がはじけた時に穴が開く」(「」内はレシピからの引用)のを目安に火から下ろせとのことだがどうもこの感覚がわからない。細かい泡がピチピチと囁くようにはじけていて穴が開いているといえばいえなくもないけれど、開いた先からまた泡でふさがって、昭和の超音波美顔器のよう。でもまあ焦げてもなんだし、と火を止めて冷まし、クッキングシートを敷いた四角い皿に流し込んで冷蔵庫に入れた。
2時間後、あいかわらず皿のなかは色・状態ともにクリームだった。包丁を入れると筋はつくがまったく固まる気配がない。なめてみるとミルクジャムだった。困ったがクッキングシートを何枚か切ってしまっていたので無理やりひと匙分くらいずつ数個包んで冷凍庫に入れ、残りをまた鍋に戻して火にかけた。
「(煮)詰め方が甘いんだよ!」と言われているような気分になりながら鍋を見守っていると、さっきより物体は茶色っぽくなり、泡も大きく可愛げがなくなって、はじけたところが多少カルデラっぽくなった。穴とはこういうことか、やはりやってみないとわからないものだと思いつつ、また冷蔵庫へ。
2時間後、さっきよりはましだがあいかわらず皿のなかはとろっとしていた。包丁を入れると一応切れるがやはり切った端から境界侵入が起こっている。何秒か考えてまた中身を鍋に戻した。

「(煮)詰め方が甘いんだよ!!」とさっきより大きな声で言われているような気分になりながら鍋を見守っているのにも飽きてくると、物体は黒木メイサの肌を感じさせるようなこんがりした色になった。泡の穴は見てももうよくわからずさほど変化もなかった。火から下ろして皿に入れるとすぐに固まり始め、包丁についたものは剥がすとパキン、と軽い音を立てた。2時間後に縦横に切ったらけっこう固くて普通にキャラメルだった。舐めるとチェルシーバタースカッチとかアーモンドピットの味がして、バターと生クリームは同じものからできているのだと、改めて思った。クッキングシートを小さく切ったものでキャンディー包みし冷凍庫で保存している。最初に凍らせたものは今なおミルクジャムのままだ。

【原因】煮詰め方か、脂肪分が少ない生クリームだったせいか、はちみつの足りない分量をメイプルシロップで補ったせいか、それらの相乗効果か。